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胃に穴があく

「胃に穴があく」とは?

胃に穴があくことを医学用語で「胃穿孔」と言います。胃内の壁に穴が開き、胃の中身が腹腔内に漏れ出してしまう状態です。胃穿孔は、放置すると腹膜炎を引き起こし、命に関わる危険性があります。

胃に穴があく原因

胃に穴があく(胃穿孔)が起こる原因はさまざまですが、以下のような要因が一般的です。

胃潰瘍・十二指腸潰瘍の悪化

胃潰瘍や十二指腸潰瘍は、胃や十二指腸の粘膜がただれてできる傷です。この傷が深くなると、胃壁に穴が開き、胃穿孔を起こすことがあります。

急性胃炎

胃粘膜に急性の炎症が起こり、重症化すると潰瘍から胃穿孔に至る場合があります。

薬剤の強い副作用

一部の薬剤、特に非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は、胃粘膜を傷つける作用があり、長期的な服用や高用量での服用によって胃潰瘍から胃穿孔のリスクが高まります。

慢性的な強いストレス

慢性的なストレスは、自律神経のバランスを崩し、胃酸分泌を増加させたり、胃の血流を悪化させたりすることで、胃潰瘍を悪化させ、胃穿孔のリスクを高めることがあります。

胃に穴があくと、こんな症状が現れます

以下の様な症状がいくつも現れた場合は、すぐに医療機関を受診してください。

  • みぞおちを中心とした、我慢できないほど激しい腹痛
  • 吐き気、嘔吐
  • 発熱
  • 冷や汗
  • 血圧の低下
  • 呼吸困難

胃に穴が空く前兆は?

胃に穴が開く病気として、多くの場合は胃潰瘍が悪化して穴が開くことが多いです。
そのため、胃潰瘍の症状が悪化していく過程で、次のような前兆が現れることがあります。

初期は「お腹が張る感じ」「みぞおちの不快感」「胃もたれ」など、比較的軽い症状がみられます。
穴が開く数日前から徐々にみぞおちの痛みが強くなり、最終的に耐え難いほどの激痛に襲われます。

胃潰瘍の症状がある方は、放置せずに早めに当院へご相談ください。

胃に穴が空いてるかも?検査・診断方法

上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)

胃の中を直接見る、最も確実な診断方法です。胃カメラで、胃の粘膜を直接観察することで、潰瘍の有無や大きさ、状態を正確に把握できます。 また、採取した組織を顕微鏡で調べることで、胃がんとの区別を行うことも可能です。

さらに、検査中に出血している部位があれば、検査と並行して止血処置を行うこともできます。

胃カメラについて
詳しくはこちら

腹部X線検査

胃の形や、胃に穴が開いていることで起こる空気の漏れなどを確認できます。胃カメラに比べると、詳細な情報を得ることはできませんが、比較的簡単な検査です。

腹部CT検査

CT検査は、X線を体の様々な角度から当てて、断層画像を得る検査です。胃穿孔だけでなく、腹腔内の炎症や他の臓器への影響なども評価できます。比較的深い潰瘍の場合は、CT画像上で見つけることができます。 ただし、CT検査は胃の外側から観察するため、胃カメラ検査と比較すると、潰瘍の細部まで評価することはできません。

一方、穿孔から腹膜炎を起こした場合、CT検査は炎症の範囲や程度を評価する上で非常に有効な手段となります。

血液検査

血液を採取して、炎症反応や貧血など、体の状態を調べます。血液中の炎症反応や、出血の有無などを調べます。胃穿孔の診断を確定するものではありませんが、他の病気との鑑別や、重症度の評価に役立ちます。

胃に穴があいた際の治療法

胃に穴が開いてしまう胃穿孔は、放置すると命に関わる危険性があるため、早急に治療が必要です。
胃の内容物が腹腔内に漏れると、腹膜炎というお腹全体に炎症が広がる状態を引き起こす可能性があるためです。

胃穿孔の治療法は、穴の大きさや、症状の重症度、合併症の有無などによって異なりますが、一般的には以下の治療法が考えられます。

内視鏡治療

小さな穴の場合

内視鏡を用いて、穴にクリップなどを留めたり、薬剤で穴をふさぐ治療が行われます。

手術治療

開腹手術

お腹を大きく切って、穴を縫い合わせたり、パッチを当てたりする手術です。

腹腔鏡手術

小さな穴を数カ所開けて、内視鏡と手術器具を挿入して行う手術です。

薬物治療

抗生物質や痛み止めなどの薬剤を使用し、感染症の予防や痛みの緩和を行います。

胃に穴があくのを予防するには?

ピロリ菌の除菌

ピロリ菌は、胃潰瘍や胃がんの原因となる細菌で、胃穿孔のリスクを高めます。ピロリ菌に感染している場合は、医師の指導のもと、除菌治療を受けることが大切です。除菌治療は、抗生物質と酸を抑える薬を組み合わせて行います。

ピロリ菌除菌について
詳しくはこちら

薬の適切な服用

痛み止めや解熱剤など、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)と呼ばれる薬は、胃を傷つける可能性があります。これらの薬を服用する際は、医師や薬剤師に相談し、指示通りに服用しましょう。必要であれば、胃を保護する薬を併用することも検討されます。

ストレスを溜めない

ストレスは、胃の働きを悪くし、胃潰瘍を引き起こす原因となります。ストレスを溜めないように、リラックスできる時間を作りましょう。ヨガや瞑想、軽い運動などもおすすめです。

バランスの取れた食事

規則正しい食生活を送ることが大切です。暴飲暴食は避け、刺激物やアルコールの摂取は控えましょう。特に、辛いものや酸っぱいものは胃を刺激するため注意が必要です。


定期的な健康診断

胃カメラ検査など、定期的な健康診断を受けることで、胃の異常を早期に発見し、治療することができます。 胃に穴があく(胃穿孔)は、日頃の生活習慣を見直すことで予防できる部分も大きい病気です。上記に挙げた以外にも、規則正しい生活を送ることや、十分な睡眠をとることなども大切です。もし、胃に違和感を感じたり、持続する痛みがある場合は、お早めにご相談ください。

胃に穴があく(胃穿孔)は、日頃の生活習慣を見直すことで予防できる部分も大きい病気です。上記に挙げた以外にも、規則正しい生活を送ることや、十分な睡眠をとることなども大切です。もし、胃に違和感を感じたり、持続する痛みがある場合は、お早めにご相談ください。

 

胃に穴があくことに関するQ&A

ロキソニンを飲み過ぎると胃に穴があくって本当?

ロキソニンなどの痛み止めは、服用量や期間によっては、胃潰瘍や十二指腸潰瘍のリスクを高める可能性があります。 医師に指示に従い、容量用法を守り、長期間内服しないようにしましょう。

胃に穴があくのはどんな感覚ですか?

胃潰瘍が悪化し胃に穴が開くと、まずうずくまってしまうほどの、みぞうちに激痛が生じます。この穴から胃液が漏れ出すことで、腹膜炎を引き起こし、お腹の中に広がった胃液が腹膜を損傷してしまう深刻な状態となり、命に関わることもあります。 そのため、胃穿孔が疑われる場合は、緊急治療が必要となります。

胃に穴があいたら何日で治りますか?

胃潰瘍の治療には、通常6~8週間程度かかると言われています。 症状が改善したと感じても、自己判断で治療を中断せず、医師の指示に従って、処方された薬を最後まで服用することが大切です。 また、喫煙、飲酒、睡眠不足、ストレスなどは、胃潰瘍の再発や悪化を招く可能性があります。 治療中はもちろんのこと、完治後も、禁煙、禁酒を心がけ、十分な睡眠、バランスの取れた食事、適度な運動など、規則正しい生活を送り、ストレスをため込まないように意識しましょう。

胃に穴が空いたら入院が必要ですか?

胃潰瘍は、内服治療で回復することが多く、入院せずに治療できるようになりました。 ただし、出血を伴う胃潰瘍の場合には、入院治療が必要となるケースもあります。 また、胃潰瘍が進行し、胃に穴が開いてしまった場合には、手術が必要となることもあるため入院が必要となります。