感染性胃腸炎はいつまでうつる?感染期間・再感染・家族内感染の予防法をわかりやすく解説
感染性胃腸炎はどれくらいの期間うつるのか、再感染のリスクや家族内での感染予防策は?
このページでは、症状や感染経路、出勤・登校の目安まで、医師監修のもとわかりやすく解説します。
- 感染性胃腸炎とは?ウイルスや細菌によって起こる症状と特徴
- 感染性胃腸炎の原因・感染経路
- 一般的な胃腸炎と感染性胃腸炎の違い
- 感染性胃腸炎の原因となるウイルス・細菌
- 感染性胃腸炎はいつまでうつる?感染期間・再感染リスク・注意点
- 感染性胃腸炎の治療と家庭での過ごし方|受診の目安・注意点
- 感染性胃腸炎の際の食事
- 感染性胃腸炎になったら、仕事・学校を何日休むべき?
- 感染性胃腸炎の家庭内感染予防|嘔吐物の処理・手洗い・消毒方法
感染性胃腸炎とは?ウイルスや細菌によって起こる症状と特徴
感染性胃腸炎とは、ウイルスや細菌に感染することで、下痢や吐き気、嘔吐、腹痛、食欲不振、発熱などを引き起こす病気です。感染性胃腸炎には、1〜3日程度の潜伏期間があり、症状が現れる前から感染力を持つこともあります。特にノロウイルスやロタウイルスは非常に感染力が強く、家庭や学校、職場で集団感染を引き起こすこともあります。
症状は、原因となる病原体の種類や感染した量、感染時の体調などによって異なり、軽い食欲不振や吐き気で済む場合もあれば、激しい嘔吐や水様の下痢を繰り返すこともあります。特に、子どもや高齢者の場合は、下痢による脱水症状に十分な注意が必要です。
感染性胃腸炎の原因・感染経路
感染性胃腸炎の感染経路には、人から人への感染と食べ物を介した感染の2つがあります。
人から人への感染は、感染者の便や吐瀉物に触れた手で口に触れることや、乾燥した便や吐瀉物の微粒子を吸い込むことが原因です。また、家庭や施設内での接触や飛沫による感染も発生します。
食べ物を介した感染は、ウイルスや細菌に汚染された食品を十分に加熱せずに食べたり、汚染された水を飲むことで起こります。さらに、感染者が調理した食事から感染する場合もあります。
一般的な胃腸炎と感染性胃腸炎の違い
胃腸炎は、胃や腸に炎症が生じる状態を指し、食事や生活習慣の乱れ、ストレス、過剰なアルコール摂取、薬の副作用など、さまざまな要因によって発症します。
症状としては、腹痛や下痢、吐き気、嘔吐、食欲不振などがあり、感染性胃腸炎と似ていますが、ウイルスなどによる感染症が原因ではないため、他人に伝染することはありません。また、治療においても、原因となる生活習慣や食事の改善、ストレスの軽減などが中心となり、特別な医薬品を必要としない場合が多いです。
感染性胃腸炎の原因となるウイルス・細菌
主なウイルス
ノロウイルス
感染力が非常に強く、汚染されたカキなどの二枚貝を生で食べることが原因で、1~2日で発症します。吐き気、嘔吐、下痢、腹痛が主な症状です。発熱はあまりありません。例年、11月から2月にかけて流行します。
ロタウイルス
主に乳幼児に感染し、水様の下痢や嘔吐を引き起こします。通常、1~2週間で自然治癒しますが、脱水症状に注意が必要です。例年、3月から5月に流行します。
アデノウイルス
主に乳幼児に感染し、長引く下痢を引き起こします。
主な細菌
サルモネラ菌
汚染された食品を摂取することで感染し、悪心や嘔吐、激しい腹痛、高熱が現れます。通常は3~4日で回復します。
カンピロバクター
主に加熱が不十分な鶏肉から感染し、腹痛や下痢、発熱を引き起こします。
ウェルシュ菌
加熱調理後に放置した食品に増殖し、腹痛と下痢を引き起こします。通常、1~2日で回復します。
黄色ブドウ球菌
皮膚や鼻腔に存在する菌で、毒素を産生することで食中毒を引き起こします。症状は吐き気、嘔吐、腹痛で、24時間以内に症状が良くなることが多いです。
病原性大腸菌
汚染された食品や水を介して感染します。特に腸管出血性大腸菌(O157など)は重症化すると合併症を引き起こす危険性があります。
感染性胃腸炎はいつまでうつる?感染期間・再感染リスク・注意点
感染期間はどれくらい?
潜伏期間と感染力の強い時期
ロタウイルス:2〜4日程度の潜伏期間があり、乳幼児が主な感染対象です。
症状がなくなってからの注意点
症状が完全に回復しても、出勤・登校の再開は慎重に判断すべきです。
トイレ後の手洗い、便や嘔吐物の処理後のアルコール消毒や塩素系漂白剤の使用が、周囲への感染を防ぐために有効です。
感染性胃腸炎の治療と家庭での過ごし方|受診の目安・注意点
治療法
脱水症状を防ぐために十分な水分を摂取します。経口摂取が難しい場合や脱水が強い場合は点滴を行います。
通常、抗生物質は使用しませんが、細菌感染が疑われる場合に使用することもあります。下痢止めは使用せず、整腸剤で腸内環境を整えることが推奨されます。
過ごし方
感染性胃腸炎は、安静にしていれば数日で回復していきます。
ただし、水分摂取が困難なほどぐったりしている場合や、症状が悪化する場合は、早めに受診してください。
吐き気や下痢が強い間は、脱水症状にならないよう、十分な水分補給を心がけましょう。
スポーツドリンクや経口補水液などで、水分と同時に電解質も補給すると効果的です。
吐き気や嘔吐が治まったタイミングで、バナナ、おかゆ、ゼリーなど、消化の良いものを少しずつ食べ始めましょう。脂っこいもの、味の濃いもの、乳製品、コーヒー、アルコールなどは、胃腸に負担をかけるため、控えるようにしましょう。
感染性胃腸炎の際の食事
感染性胃腸炎では胃腸が弱まり食欲が低下しますが、脱水予防のため水分補給が重要です。水分補給を優先し、体調に合わせて少しずつ消化の良い食品を取り入れましょう。
おすすめの食べ物
発症から1~2日間は、しっかりと水分補給ができていれば、無理に食事を取る必要はありません。食欲があれば、おかゆや柔らかく煮込んだうどんなど、消化に優しい薄味の食べ物を選びましょう。3~4日が経過して食欲が戻ってきたら、雑炊や野菜の煮物など、少し食べ応えのある食事も取り入れてみてください。その後は、ご自身の体調に合わせて、徐々に通常の食事に戻していきましょう。
控えるべき食べ物
食物繊維が豊富なゴボウやレンコンなどの根菜類、キノコ類、また脂肪分の多い肉類は、消化に負担がかかるため避けましょう。
香辛料も刺激になるので控えるようにしてください。さらに、オレンジやみかんなどの柑橘類は、胃酸の分泌を促して吐き気を引き起こす可能性があるため控えた方が良いでしょう。また、ヨーグルトなどの乳製品も消化に負担をかけることがあるため、できるだけ避けることをおすすめします。
感染性胃腸炎になったら、仕事・学校を何日休むべき?
感染性胃腸炎は、サルモネラ菌、カンピロバクター、ロタウイルス、ノロウイルスなどが原因で発症することが多いですが、感染症法や学校保健安全法において、出席停止や就業制限の明確な規定があるわけではありません。
そのため、症状が治まり、体調が回復していれば登校・出社は可能とされています。
しかし、ノロウイルスやロタウイルスは症状が治った後も1週間程度ウイルスを排出し続けることがあり、完全に感染リスクがなくなるわけではありません。
体調が戻っていても、最低でも症状が治まってから48時間は自宅療養を続けることが望ましく、家庭内感染や職場・学校での集団感染を防ぐためにも、早すぎる復帰は控えた方が安心です。
登校・出勤のタイミングについて迷う場合は、学校や職場に相談した上で判断しましょう。
感染性胃腸炎の家庭内感染予防|嘔吐物の処理・手洗い・消毒方法
家族内で感染性胃腸炎が流行してしまうと、看病する側も体調を崩してしまう恐れがあります。
特に複数人が同時に感染すると、看病が困難になるだけでなく、感染の連鎖が長引く原因にもなります。
また、感染性胃腸炎は一度治った後でも、同じシーズン内に再感染することがあり、ノロウイルスなどは型が多いため、十分な免疫がつきにくい特徴があります。
そのため、感染している本人だけでなく、看病する保護者の方同居しているご家族</strong>が感染しないよう、予防を徹底することが重要です。感染予防のポイントは、主に以下の3つです。
こまめに手洗いと換気を行う
感染予防に最も大切なのは、手洗いと換気を徹底することです。
嘔吐物や便を処理した後や、ウイルスが付着している可能性がある場合に触れた後は、必ず手洗いを行いましょう。
また、換気は室内の空気を入れ替え、ウイルスが滞留するのを防ぐために重要です。窓を2カ所以上開けて、風の通り道を作ると効果的です。
嘔吐物や便を処理した後は、必ず窓を開けて、換気を十分に行いましょう。
嘔吐物や便の片づけ方
嘔吐物や便には大量のウイルスが含まれているため、使い捨て手袋やマスクを使用し、直接触れないようにしましょう。
処理後は塩素系漂白剤(次亜塩素酸ナトリウム)で床やトイレ周辺を消毒するのが基本です。
汚れた衣類の洗濯の仕方
汚れた衣類は他の衣類と別に洗い、塩素系漂白剤や熱湯で消毒します。
カーペットや布団はスチームアイロンや布団乾燥機で除菌・ウイルス対策を行うのがおすすめです。